モダンな和室の事例紹介 おしゃれな和室をつくるコツを解説

モダンな和室 注文住宅

洋室がスタンダードになった現代、和室に求められるデザインも変わってきています。今回は和の要素を程よく残しながら洋室とも調和する、「モダンな和室」をデザインするコツをご紹介します。

編集 平成建設

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今どきの和室事情

昭和の時代、二間続きの和室は定番の間取りでしたが、令和を迎えた今、すっかりその数を減らしています。とはいえ、フローリングの洋室が一般的となった現代においても和室自体の人気は高く、住まいをつくるなら一部屋は和室を設けたいという方は多くいらっしゃいます。

和室は、障子や襖を開閉することで個室にも大空間にもなる便利な空間です。更に、畳はフローリングに比べて柔らかいため、布団を敷けば客間になる、お子様が安全に遊んだりお昼寝したりできる、寛ぎのスペースとしてごろ寝ができる、洗濯物を畳んだり片付けたりする家事スペースになる等々、広い用途に使うことができます。

最近は、リビングの一部に畳を敷いたライトな「畳スペース」や、洋室と違和感なく繋がるスタイリッシュな和室を設けるケースが増えてきました。

その一方で、職人の技術が光るオーソドックスな和室や、大正から昭和初期のアンティーク家具を導入した和テイストが強い和室も根強い人気があり、まさに多種多様な「和室」が並び合う時代となっています。

おしゃれな和室をつくるコツ

ひとえに「モダン」と言っても、どれぐらい洋室に寄せるかによってデザインは大分変わります。また「近代的でスタイリッシュな和室」や「大正や昭和のレトロな雰囲気を継承する和室」など、「モダンな和室」にも様々なタイプがありますので、どのモダンを目指すのか明確にし、住宅会社とイメージを共有することが重要です。気に入った外観・間取り・インテリアの写真は日ごろから集めておきましょう。

空間の繋がりを考える

LDKと隣接する和室

近年は和室をリビングに隣接させ、襖や障子の開閉によって大空間と個室を使い分けるプランや、和室を小上がりにして、建具を設けずに空間を緩やかに切り替えるプランが増えています。この場合、和室はそれ単体ではなく、LDKと共通性を持たせながらデザインすることが重要になります。LDK+和室を一つの空間として使う際のバランスを考慮し、リビングのインテリアに合わせて和室の家具・建具・照明のデザインを決めていきましょう。

畳の選び方で和室の印象が変わる

ダークトーンの方形畳でモダンなイメージに

モダンな和室を作るならば、オーソドックスな一帖畳よりフチのない方形の畳がおすすめです。

畳の材料は伝統的にい草が使われてきましたが、現在では手入れの簡易さ、劣化のしにくさなどから、和紙製や樹脂製の畳を選ばれる方も増えています。

和紙素材の畳は表面がコーティングされているため撥水性が高く、い草に比べてカビやダニが発生しにくいのが特徴です。また、樹脂素材の畳はそもそも水を吸収しないため、和紙素材の畳よりも更に手入れがしやすく、長持ちします。

和紙製や樹脂製の畳はカラーバリエーションやサイズが豊富にあり、モダンな和室づくりには欠かせない存在です。畳のカラーバリエーションには派手な色もありますが、一般的な住宅には黒やこげ茶、桜色といった落ち着いたカラーを選ばれる方が多いようです。

フローリングに「置き畳」でモダンな和空間

「置き畳」はフローリングや板間に直に敷くことができ、容易に取り外しができる畳のこと。フチのない正方形のものが多く、畳目を交差させ、市松模様になるように配置します。費用を抑えながら気軽に和風コーディネートを楽しむことができるアイテムとして人気があります。

壁材とアクセントクロスでモダンな和室に

従来の和室は砂壁や塗壁を採用していましたが、メンテナンスの難しさ、古いイメージなどから、最近は壁紙を採用する方が増えています。モダンな和室を目指すなら、壁の一面や天井にアクセントクロスを貼ってみましょう。クロス、天井、床を落ち着いたダークトーンでまとめると、洗練された和の空間に仕上がるのでお勧めです。

壁ではなく襖をアクセントに!

アクセントウォールに抵抗感のある方は、まずは襖紙をモダンなデザインに変えてみましょう。低コストで和モダンテイストを体験することができます。

また、真壁ではなく大壁で和室をつくることもおすすめ。一風違う和室を作りたい方はぜひご検討ください。

真壁(しんかべ)とは?

真壁の和室

柱を露出させた壁のこと。日本古来の建築に多く見られます。敢えて黒く塗装すれば、新築でもアンティーク風味を楽しめます。

大壁(おおかべ)とは?

大壁の和室

柱が見えない壁のこと。通常の洋室の仕様です。凹凸が消えることでモダンな空間と相性の良い、シンプルな壁面が生まれます。

床の間は採用する?

光る床の間

床の間というのは、上座の背後にある一部高くなった部分のこと。本来は床柱や落とし掛けなど、あらかじめ決まった要素で構成されるのですが、最近は自由な発想で床の間をデザインした事例が増えています。床柱を省いた事例、照明とアクセントクロスでモダンなディスプレイスペースとする事例、掛け軸ではなく壁そのものを鑑賞対象とする事例、中には床板が発光する事例も! 併せて、床の間に飾る花を現代風なフラワーアレンジメントにするのも和モダンインテリアとしておすすめです。

四季折々の花や美術品を飾る床の間は日本文化を象徴するスペースですが、最近は和室=客間という役割が希薄化することで、和室に床の間を設けない方も増えています。

収納に採用したい吊り押入れ

モダンな和室と吊押し入れ

モダンな和室を設計する上で、デザインを重視して収納を作らないこともありますが、客間としての活用を考慮するならば、来客用の布団ぐらいは和室の中に収納したいところです。

そこでおすすめなのが「吊り押入れ」。押入れの下部に生まれる空間に間接照明を配置したり、明り取りの地窓を設けたりすることで洗練された空間が生まれます。更に、上の事例では収納の奥行きを利用してエアコンを格納し、木格子でおしゃれに目隠しています。

シンプルなダウンライトでおしゃれな空間づくり

モダンな和室に似合うダウンライト

古民家風の和室にはアンティークなペンダントライトが、近代モダンな和室にはシンプルなダウンライトがおすすめです。また、床の間や書院造りに間接照明を仕込んだり、天井を折り上げ天井としてライトアップしたりと、照明計画を工夫することでよりモダンでスタイリッシュな和室を演出することができます。

客間としての利用が想定される場合は、お客様が宿泊することを考慮して、調光機能付きの照明にすると良いでしょう。

和モダンを演出したおしゃれな和室の事例

 

近代的な”モダン”から、和洋折衷の”モダン”まで、多様な9つの「モダンな和室」をご紹介します。

モダンな和室の施工事例1 大正浪漫のモダニズムが息づく和室

アンティークの格子戸が迎える玄関

敢えて日本建築のセオリーから外れ、障子や襖ではなくアンティークな格子戸で仕切った和室。視線が窓の外まで抜けるため圧迫感がなく、モダンな印象を受けます。

和モダンなリビング

シンプルなダウンライトに、栗色×クルミ色の方形畳を組み合わせた和室。新築のお住まいですが、アンティーク建具に馴染むように床や柱を塗装し、大正時代や昭和初期のモダンな空間を再現しています。

板張りの和モダンダイニング

リビングに隣接する板張りのダイニング。お施主様が購入されたアンティーク家具が綺麗に収まるように設計されています。扉の代わりに格子を採用したり、柱や床の色を統一したりすることで、玄関、リビング、ダイニング、キッチンに共通性を持たせています。

モダンな和室の施工事例2 和モダンリノベーションで蘇る和室

モダンな和室

天井のアクセントクロス、ダウンライト、プリーツスクリーン、桟の細い障子、方形の黒畳と、モダンなインテリアで構成された和室です。和室の伝統的な要素である付書院や違い棚などを現代的にアレンジして空間に取り入れました。

現代的に解釈された違い棚と付書院

玄関側の開口部には障子戸と格子戸の二種類を配置。通常は格子戸のみを、来客時には障子戸を重ねて閉めることで、玄関からの視線をコントロールしています。

和モダンな障子を導入したリビング

住まい全体の和モダンテイストを崩さないよう、リビングの開口部にもデザインされた障子を用いました。素材やテーマに統一感を持たせることで、住まい全体のコーディネートが完成します。

モダンな和室の施工事例3 猫と暮らす和モダンな茶室

猫とモダンな和室

お住まいをトータルリノベーションして茶室を新設。床の間や天井には伝統的なデザインを用いつつ、櫛引きの壁や方形畳といった要素がモダンな印象を与えます。また、リフォームに際し、愛猫が住まいのどこにでも移動できるような工夫を随所に施しました。

茶室と隣接する板張りの寝室

こちらは茶室に隣接する寝室。本棚は階段下を活用して造作されており、愛猫のための専用通路も設けています。

モダンな丸窓と障子

寝室の障子を開けば、そこは茶室。富士を象った開口部は大工のオリジナルデザインです。

モダンな和室の施工事例4 余暇を堪能する寛ぎの和室

別荘の一室として設計された和室です。円窓(えんそう)や書院甲板(しょいんこういた)など、伝統的な和風建築の要素を取り入れつつモダンなデザインで纏めました。楠の敷目天井は幅を広く取り、畳はシックな灰桜色を選択。

障子を開けば自然に囲まれた絶景が広がります。忙しい日常から解放され、ゆったりとした時間を過ごすことのできる空間です。

モダンな和室の施工事例5 グレーカラーでシックに纏めた和室

アンティークとモダン、和風と洋風がバランスよく調和した和室です。吊り押し入れ、方形畳、プリーツスクリーン、アクセントカラーの壁と、和モダンを形成するパーツが揃っています。

通りに面する側の壁面には大きな窓を設けず、地窓から採光。柔らかな自然光が壁を照らし出し、「侘び・寂び」を感じるムラ感を楽しむことができます。

2階リビングにもモダンな畳スペースを設けました。直接座ることのできる畳は、様々な用途に使える便利な素材です。

モダンな和室の施工事例6 照明効果で浮遊感を演出する和室

マンションを和モダンな住まいへとリノベーション

マンションを購入してフルリノベーションしたお住まい。黒で統一されたLDKの一角に、小上がりの和室を設けました。

小上がりの和室と浮遊感のある間接照明

間接照明によって浮遊感を演出した和室に、テーブルがわりに座卓を設置しました。小上がりの和室と掘座卓の相性は◎。

襖ではなく格子戸で仕切られた和室

和室を仕切るのは障子ではなく細かい格子戸です。視線や光を通しながらも程よい籠り感が生まれます。

モダンな和室の施工事例7 大開口からLDKを見下ろす和室

大壁の和室

床柱以外の柱が露出しない、大壁の和室。すっきりとシンプルな印象に仕上がっています。襖の色合いや天井の素材感で洗練された空間を演出。

モダンなデザインの吊押入れ

対面には床の間と収納力抜群の押し入れを配置しました。部屋が暗くならないよう吊押し入れとし、下部に窓を設けています。押し入れの厚みを利用し、エアコンの存在感を消したデザインにもご注目ください。

和室に設けた1階リビングを見降ろす大開口

障子を開けば、2階和室と1階リビングが繋がります。お施主様はコンサートや催し物の開催を想定されているそうです。

モダンな和室の施工事例8 アンティーク家具と調和する古民家風の和室

和モダンな和室と調和するインテリア

リビングと接続するよう小上がりの和室を設けたお住まい。お施主様の選ばれたインテリアには一貫した共通性があり、暮らしを華やかに彩っています。

小上がりの和室と二方向を設けた格子戸

和室は2方向に開口部を設けており、障子ではなく格子戸で仕切る構造。格子戸は視線を通すのでリビングに圧迫感が生まれません。

シンプルな小上がりの和室

和室にはテーブルの代わりに堀座卓を設置しました。アンティークな照明を設置し、大正・昭和を思い出させるレトロモダンな和室となりました。

モダンな和室の施工事例9 リビングと一体化して使えるモダンな畳スペース

リビングの一角に設けた畳コーナー

リビングの一角に設けた畳スペースは、和室と洋室の良い所を継承した便利なスペース。空間を細かく仕切りたくないけれど畳の部屋が欲しいという方におすすめです。

ブラインドで仕切られたLDK

バーチカルブラインドを閉めることで、独立した空間としても利用できます。ところで、ブラインドの左下が四角く切り取られていることに気づかれましたか?

愛犬の住まいを兼ねたオリジナルソファ

お施主様こだわりのオーダーソファは、ひじ掛けの部分にサイドテーブル兼愛犬の小屋が造作されています。ブラインドがカットされていたのはこの出入口部分。愛犬が自由に出入りできるよう、一部カットされたそうです。

LDKと繋がるウッドデッキと庭

リビング、和室、その先にはウッドデッキと庭が続きます。しっかり塀で囲まれた庭でなら、安心して愛犬を遊ばせることができますね。

モダンな和室に取り入れたいインテリア

和過ぎず洋過ぎない、モダンな和室のインテリアを選ぶコツは、素材感。モード系のデザインでも、素材に和の要素を持たせることでモダンな和室に程よく馴染みます。

障子代わりのプリーツスクリーン

様々な種類があるプリーツスクリーン

障子では和風すぎて他のインテリアに合わない…という時にお勧めなのが、「プリーツスクリーン」です。 プリーツスクリーンは和紙調の不織布を折りたたんで製作されており、ブラインドのように上下に開閉します。色や柄の選択肢が多く、リビングや和室のインテリアに合わせてコーディネートできる点が強み。光を通す素材や遮光性の高い素材があり、部屋の用途に合わせて選ぶことができます。

もし障子を採用するならば、従来のものよりも桟を細くしたものを選ぶことでモダンな雰囲気になります。

脚のないローテーブル

和室を客間として使用する場合、お茶などをお出しするテーブルが必要になりますが、座卓を配置すると途端に和風味が強くなります。モダンなコーディネートを目指すなら、脚がブロック状になったローテーブルがおすすめ。また、金属や石といった素材は和室との調和が難しいので、選ぶならば木製テーブルが良いでしょう。

畳に跡を残したくない方には堀座卓という選択肢もあります。掘座卓は座ったり立ったりする際の負担が軽く、高齢の方に人気です。お客様が泊まる際に布団を敷けるように、蓋を作っておくと更に便利です。

シンプルなフロアライト

シンプルなフロアライト

和室では床に座ったり布団で寝たりするため、自然と視線が下がり、床を照らすフロアライトとの相性が良くなります。フロアライトを設置する際には、天井はスッキリとしたダウンライトがおすすめです。

和紙や木のような素材を選んだり、伝統的な組子をデザインに取り入れたりすることで、モダンなインテリアにも和の雰囲気を取り入れることができます。

まとめ◆デザインと素材感で和用折衷を目指しましょう

洋室が主流となった現代、和室のデザインにも他の空間との調和が求められます。日々開発される新しい素材を取り入れつつ、照明計画、壁紙、インテリアなど、全体のバランスをとりながら洋と和の配分を決めていきましょう。

監修 内藤 康介

一級建築士/第二種電気工事士/宅地建物取引士

東大大学院卒の職人。大工や現場監督として現場に携わったのち、現在は企画部にて平成建設の技術・品質の向上やSDGs推進に取り組んでいる。