無機質な混凝土に、光の移ろいを捉える「肌合い」を宿す
異なる3種類のベニヤをランダムに割り付け、型枠のアクムラを許容。 転写された木肌や自然な色ムラを素材固有の表現として意図的に引き出した。 型枠の端部に桟木を差し込み、表面に微細な凹凸を形成。 均質だったコンクリートの壁面は柔らかな陰翳を纏い、その時々の光を静かに映し出す。 凹凸の位置や量を調整することで、朝日と夕日で異なる陰翳表現を追求した。

多種多様な素材が宿す、根源的な力強さとありのままの質感を響き合わせ、空間の骨格を構築した住処の計画。
「混跡」という名に込めたのは、主材である混凝土(混)に刻まれた、職人の手跡(跡)である。
塗装業を営み、数多の現場を知るクライアントは、完成時をピークに「経年劣化」の一途をたどる工業製品主体の建築に対し、ある種の違和感を抱かれていた。
求められたのは、単なる効率の追求とは対極にある、人の体温が息づき、歳月を重ねるほどに生命力を増していく根源的な居場所としてのあり方である。
この切実な問いに対し、歳月を重ねるほどに正しく古びる経年変化を美徳とする空間を構築。
3種の型枠を用いた混凝土の表現や職人との対話を通じ、生命力を増していく根源的な居場所と、住まうことの本質的な豊かさを追求している。
工業化された現代建築への応答として、機能や効率の先にある素材本来の風合いに包まれる心地よさを追求し、家族の日常とともに味わいを深めていく住まいを目指している。
異なる3種類のベニヤをランダムに割り付け、型枠のアクムラを許容。 転写された木肌や自然な色ムラを素材固有の表現として意図的に引き出した。 型枠の端部に桟木を差し込み、表面に微細な凹凸を形成。 均質だったコンクリートの壁面は柔らかな陰翳を纏い、その時々の光を静かに映し出す。 凹凸の位置や量を調整することで、朝日と夕日で異なる陰翳表現を追求した。
設計士と多能工が幾度も対話を重ね、現場での即興的な判断や微細な調整を建築プロセスへと統合。 すべてをコントロールするのではなく、作り手の技や素材の揺らぎに身を委ね、ある種の「偶然性」を設計へと昇華させている。 職人の手跡が宿る空間は図面を超えた密度を備え、ものづくりの原点を想起させる。

本作は「正しく古びる」ことを主題に据え、空気に触れ色を変える真鍮、年月とともに手触りを増す木や土を用いた。 これらの素材が持つ「ゆらぎ」や経年変化は、職人の手仕事や家族の日常を、素材の表情としてそのまま積み重ねていく。 機能や効率の先にある、素材本来の風合いに包まれる心地よさを追求した。
