WORK 41
低市場価値材を使用した、壁構造のお住まいです。 通常、市場には出回らず廃棄されてしまう低市場価値材を、意匠面・性能面で無駄なく活用し、新たな価値を生み出したデザイン。 外断熱の上に厚み45mmの杉材を貼った外壁は、時間の経過と共に木の色が変化し、周囲の環境と調和していきます。木材は栃木まで買い付けに行き、材料を見ながら貼り方を決定しました。 低市場価値材の活用が進めば、製材業者の歩留まり率が上昇し、最終的には国内林業の活性化にも繋がります。 住まいの快適性と国内産業の振興の両方を目的とした、サステナブルな社会の実現に向けて一歩踏み出した建築です。
フラットルーフの端正な外観。広大な富士山を眺められる北面には、リビングと大開口で繋がるテラスとを設けた。
南側の高窓は、冬季は日が差し込み、夏季は庇により直射日光が遮られる。 また、反射した光が室内を照らし出すため、窓の少ない空間でも十分な採光を得ることができる。
構造体(マッシブホルツ)に用いたのは、製材所の片隅に大量に放置されたデッドストック。市場に流通しづらい、節が多く、丸みやひび割れのある国産木材を有効活用している。 低い市場価値しか持たなかった材に新たな利用価値を見出すことで、資源の無駄をなくし、国内林業・木材産業の活性化を目指す。
大空間のLDKは、壁と天井に敷き詰められた構造材でもある厚さ120mmの杉の平角材が露出し、独特の空間を作り上げる。
木製サッシにはアルゴンガス入りの複層ガラスを使用。空気入りの複層ガラスよりも高い断熱性能を誇る。
平角材は意匠的な木のぬくもりだけでなく、調湿、断熱などの効果も併せ持ち、一年を通して内部を穏やかな環境に保つ。
高い位置にある窓から明るい光が降り注ぐダイニングキッチン。
キッチンには薪を燃やすクッキングストーブが設置されており、調理だけでなく温水をつくり、給湯熱源や床暖房として利用する。夏季は屋根に設けた太陽熱集熱パネルを用い、温水を供給。
リビングに隣接する、趣味の木彫りを楽しまれるアトリエ。作業台としてアンティークデスクを設置した。
空間に合うよう、洗面台はステンレス製のオーダー品を採用。
洗面脱衣室と浴室はガラスで仕切られた、白く、明るい印象の空間。
大開口を設け、自然豊かな周辺環境を借景とする洋室。網戸が見えないよう通風用の窓は羽目板張りを用い、ガラス面をはめ殺しとすることで、周囲の雑木林がまるで絵画のように切り取られる。
網野 禎昭教授(法政大学) 奥村 賢史(平成建設)
土屋 和之
GOOD DESIGN AWARD 2015 BEST 100「住宅・住空間 新築住宅」。 ウッドデザイン賞 2019「ソーシャルデザイン部門 建築・空間分野」
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