WORK 131

平屋のコートハウス

「カーテンが不要の生活をしたい」「基本的な生活は1階で完結させたい」というお施主様のご要望に対して、初回のプランでご提案したのは壁で庭を囲った二階建て住宅。 打ち合わせを重ねるうちに、中庭は完全な囲い庭に、二階建ては平屋に変化し、庭の四方を建物で囲んだ平屋のコートハウスが誕生しました。 外部と繋がる開口部はなるべく抑えつつ、中庭とLDKが大開口で繋がるレイアウトを採用。 愛犬が駆け回っても劣化しない床材にしたいとのご要望を受け、玄関からLDK、中庭に至るまで同一の陶磁器タイルを使用し、対比するように天井には木材を貼ることで、シャープさと柔らかさが両立するハイセンスな空間を作り出しています。

建築データ

  • 構造

    SE構法
  • 所在地

  • 築年数

    新築
  • 階数

    平屋
  • 建築面積

  • 世帯数

    単世帯
  • 性能

    長期優良住宅
外部に向けて開口部を抑えた外観

外観 Facade

白のALCパネル+吹き付け塗装でモダンな印象の外観。 外部からの視線が気にならないよう、住まいの中心に中庭を設け、それを取り巻くように居室を配置した。 中庭から風と光を導くレイアウトを採用し、外部に向かっては閉じ、中庭に向かっては開くデザインとしている。

土間とホールに同一のタイルを用いた玄関

玄関・土間 Entrance and doma

玄関とホールの床には同一の陶磁器タイルを選び、空間に連続性を持たせた。二手に分かれた動線は、右に向かえば寝室に、左に向かえばLDKへと繋がる。 玄関ホールには地窓を採用し、敢えて視界を制限するデザインとした。

玄関にベンチを造作した

玄関・土間 Entrance and doma

玄関ホール・LDKの壁面はルナファーザー+ホタテパウダーの塗り壁とした。 床には硬質な印象のタイルを、天井には柔らかな印象のレッドシダーを用い、硬軟取り交ぜた表情豊かな空間を創出している。 玄関には収納付きのシンプルなベンチを造作。面材にはブラックチェリーを、手すりにはアイアンを使用。

中庭に向かう大開口を設けたLDK

リビング Living

玄関ホールの先に広がる、中庭に向かって大開口を設けた大空間LDK。 玄関の重心を低く設定して閉鎖的な印象にすることで、LDKに足を踏み入れた瞬間の視界の広がりを劇的に演出している。 壁は白の塗り壁、床は陶磁器タイル、天井(軒天)はレッドシダー、造作家具はブラックチェリーと、素材を共通させることで住まいに統一感を持たせた。

塗り壁にレッドシダーが映えるLDK

リビング Living

夕方になれば間接照明が塗り壁とレッドシダーを柔らかく映し出す。

リビングよりも天井を低く設定したダイニングキッチン

ダイニング Dining

天井を一段低くし、籠り感を生んだダイニングキッチン。リビングは天井を高く設定して開放的に、ダイニングとキッチンは低くして落ち着きある空間とした。 キッチン背面に造作した大収納は、玄関のベンチと同様にブラックチェリーを採用している。

家事動線が短くなったダイニングスペース

ダイニング Dining

キッチンに対して平行に配置することで、家事動線が短くなったダイニングスペース。

対面型のフルフラットキッチン

キッチン Kitchen

機能性と意匠性を考慮して導入した、セラミック天板のフルフラットキッチン。

折り上げ天井が印象的なリビング

リビング Living

LDKには変則的な折り上げ天井を採用。中庭に設けた庇と同一の素材を使用し、同じ高さに揃えてLDKまで延長させることで、室内と中庭の境界線を曖昧にし、より一体感を感じる空間を作り出した。

愛犬も暮らしやすい平屋住宅

リビング Living

段差の少ない平屋は、愛犬にとっても暮らしやすい構造。雨水やゴミが室内に入らないよう、実際には中庭と居室の間に十数センチの段差を設けているが、タイルの目地を揃えることで一見するとフラットに接続しているようにも見える。

コートハウスの中庭に植えたオリーブの古木

Garden

住まいの中心に設けた中庭には、シンボルツリーのオリーブの古木を植えた。 この中庭が住まい全体の採光・通風を担う。雨天時には水が溢れず流れるよう排水溝を設置している。

ロの字型のコートハウスに設けた中庭

Garden

中庭を挟んだ棟は寝室が並ぶプライベートスペース。平屋住宅はLDKと寝室がワンフロアに収まる点がメリットだが、二つの空間が近接しているが故にプライバシーをどう確保するかが問題になる。 こちらのお住まいは中庭を挟むことで物理的な距離を設けつつ、閉鎖的な廊下を通ることでパブリック/プライベートな空間を切り替えている。

  • 設計

    長澤 和孝 五十嵐 尭

  • 大工

    竹内 雅之