雑記

おススメの「スイーツ」

その存在を知ったのは十代の頃だったろう、商品開発された歴史はそれほど古くなく昭和の終わり、発祥の地は全国に幾つか候補があって特定されていないらしい。市場に出始めた頃からここ最近まで、食する機会はあったかもしれないが、鮮明な印象は記憶に思い当たらない。

文句なしで果物界のエース的存在であるいちご、和菓子界の王道を往く大福。わざわざ組み合わせなくたってそれぞれ自身で十分美味しいではないか、という気持ちがあって縁遠かったのかもしれない。

 

けれどそのもの自身で良いかどうかは分かりようがなくて、子供のころのように別の存在に自分は眺められていると、気付いたあとに初めて認識されるのが良し悪しなのだということは忘れがちだ。

ただいちごだけであったとしても、その前後に何を食べていたのか、どこで採れたいちごなのか、隣り合ういちごのどちらを先に食べればより美味しかったのか、赤く熟した先端と白い葉元のどちらを先に食べればより甘く感じるのか、一日の中でどの時間帯に食すのが効果的か、隣に誰かが・・・等々。大福だけ食したのであっても・・以下同様。

 

そして美味しさは突然やってくる。作り手は、いちごと餡と餅との配合をかけがえのないものとして提示する。そこにいちごだから、大福だからというわだかまりはなくて、今ここにあるいちごさん、餡さん、餅さんの声を最大限に響かせ合う調和を目指す。乗り物は問わず、道中の景色は様々だけれど、届けたい思いは明確だ。