雑記

お気に入りの「風」

ここ最近触れた気持ちの良い「風」についての報告です。

 

風通しのよい住まいとはどんなものでしょうか?空気も流体なので水と同じように高いところから低いところへと流れていきます。気圧の高いところから低いところへの空気の移動が風を生み出し場はフラットな状態に均されていきます。家庭のみならず地域社会や会社組織にも必要とされる風通し。

 

以前お仕事をご一緒する機会に知り合ったインテリア・家具デザイナーさんが群馬県の館林でインテリアショップを開かれたとのことで足を運んできました。館林というと、、、私たち?建築マニアにとっては群馬県立館林美術館ですよね~

これです!水平線と曲線の交錯、伸びやかな水平線と緩やかな地平の起伏が身体性をくすぐります。通りすがりでしたが展示の銅版画(南桂子さん)にも戦慄、貴重な出会いでした。

 

JR館林駅から館林城跡方向東へ1kmほどいった大手町西の洞、訪れたインテリアショップの名前は「コト」。店主でありデザイナーの長谷川さんのお住まいは確か埼玉だったはず?群馬に移住されたのかなと思いきや、仕事場のみこちらに移し通勤されているとのコト(!)。何かゆかりのある土地だったのかしら?きっと地域に根差したお店なんだろうなとの思いを持っての訪問です。

看板の余白とロゴの文字がそのまま飛び出してきたかのようなスチールアングルの支持材が素敵です。

 

お店に入りました。建物は古い民家を改装したかのようですが、構造の骨格は象設計集団さんという歴史のある設計事務所(名護の市庁舎がとても有名です)の設計だとか。確かに経年変化をしていく中で立ち上るデザインエッセンスの昇華を感じさせてくれます。中庭に面した横長に連続した木製建具と室内の木調を主体とした構成が民芸調に陥らないのは、セレクトされた品々の個性を貶めることなく配置された的確なスタンスの取り方にあるのだろうと、ただそのセンスを飲み込んで吸収しなくちゃと姿勢を正しながらの徘徊、所在の西の洞はメイン通りからは一本入っていますが、同じ設計者による隣接したイタリアンレストランは味はもちろんのこと音響の素晴らしいライブスポットとしても有名、地域文化の発信基地としての役割を担っています。

レストラン店内の様子。う~ん、光の粒子がつかみ取れそうです。有機的な曲線が特徴となるテーブルや椅子の造作家具と構造材とが階層的でなくグラデーションとして並べられています。

界隈にある大手町長屋門では4月に恒例の手業市と呼ばれる地域に根差した手作り品の販売市が開催されており、コトの店主も実行委員長として活躍されているのだとか。類まれなデザインセンスをもって全国を駆け巡り幅広くお仕事をされる一方で地域にとって掛け替えのない役割を担うそのあり方、私たち平成建設も藤沢という場所から地域文化の要となる立ち位置を開拓していきたいものです。