階段話 ~蹴込み板~

今回は、大工・川崎の階段製作作業の様子をお届けしたいと思います。


で、川崎はどこへ?


階段下にいました。
階段の立ち上がり、「蹴込み板(けこみいた)」をつけるのだそうです。

裏側から蹴込み板を押さえたところで「寺本さ~ん!ちょっと見てくださ~い!」 と、監督チェックを依頼。

すかさず寺本が蹴込み板と壁とのスキマをチェック。ここは、両端とも斜めに納まるところなので、細心の注意が必要な部分かと。「よいですね~~~~。」 監督からOKがでました。



しかし、監督チェックの反対側である柱との接合部が気になったようで、ノミで微調整。真剣です。





その後、蹴込み板も微調整して、再度チェック。

今度は納得したようです。


接着剤をつけて…

蹴込み板をビスで固定します。


今度は表側にまわる川崎。手には歯ブラシ?「ボンドが表側にはみ出してくるので、それを掃除します」


キレイに掃除した後、川崎はまた階段下へ。

同じ要領で、構造用合板を重ねていきます。階段は人の体重がのしかかるところだからガッチリ固定するのかな、と思っていたのですが、それだけではないようです。こちらの現場は、木目のきれいな木が表に現れてくるお住まいなので、階段も木目を意識した、はぎ板を多用しています。ですが、目につきにくい場所である蹴込み板は、木目がきれいだけど薄い突き板+構造用合板でコストダウンを図っているのだそうです。






「この間話をした集成材だと十分な厚みがあるので蹴込み板に構造用合板を付け足すことは無いんですけど、さっきの板はこんなに薄いので……」

と、蹴込み板の端材を手に取る川崎。確かに、人の体重を支えるのには心許ない厚みです。

最後に、表側からもう一度はみ出た接着剤をきれいにして、蹴込み板の取り付けは終了。




これを15回繰り返して製作される階段。なんと手の込んだものなのでしょう。大工から直接話を聞きながら製作過程を見ることができ、ますます階段が好きになりました。