谷は主に、部下と共に注文住宅の設計をしている。今メインで携わっているのが15物件。全て把握し指示を出しているという。
その経歴は、いささか特殊。かつては大手設計事務所で数十億のプロジェクトに携わっていた経験がある。それに対し今担当している物件は数千万単位。やりがいの面ではどうなのだろうか。
「喜びはむしろ大きくなっています。大きいプロジェクトでは自分の考えが一部にしか生きてこないし、相手が法人の場合は、あまり感謝されないこともあります。それに対して住宅では自分の考えをダイレクトにお客様に提案できるので、とても臨場感がある。お客様の笑顔を見られる回数が多いのが、この仕事の魅力ですね」
平成建設では、設計士の割合が大きい。「お客様オリジナルのもの、本当に良いものをつくるには設計の力は重要だという会社の考えのもと、人数は多くなっています。家が建つ過程も含めトータルで一軒一軒に携われる。これは設計士として幸せなことです」

職人が同じ社員ということは、設計士として大変重要なことだと角谷は言う「たとえば下請けの大工に、工事中の変更を依頼するといやな顔をされる事があるのですが、平成建設の大工は、ひと手間かけることで良いものになるなら喜んでやるという姿勢。それどころか現場からの提案があります。内製化とは、職人を社員として雇っているというだけではないんです。現場監督も、設計士も、職人も、その現場に関わるすべての人がお客様のほうを見て、いい物を作りたいという共通認識を持っているのが内製化の最大のメリット。設計士だけが良いものをつくろうと思っていても、現場と対立していたら意味がありませんからね。そういった意味で、平成建設は、設計士にとって最高の環境だと思っています」
当面の目標は、日本を代表する設計事務所になることだという。
「重要なのは、設計士の作品をつくるのではなく、お客様が長い間生活する空間として、時間とともに熟成する本当に良い家をつくっていくことです。それが私たちの使命だと思っています」

 

 

いいものを作るには、
現場を巻き込まなくてはいけない。

角谷良一〈2004年入社〉武蔵野美術大学造形学部卒業。都内大手設計事務所2社を経て、平成建設へ中途入社。2011年、古材を活用した新築住宅「大正浪漫邸宅」でグッドデザイン賞を受賞。設計士を率いるリーダーとして、日々、数多くのプロジェクトを動かしている。