寄屋造りから始まり、欅の間、杉の間、そして漆の間の4タイプの建築空間から構成される三島南ショールーム。そこへ足を一歩踏み入れれば、純和風の世界が広がる。
ショールームを訪れて、まず目に入るのが数寄屋造りだ。室町時代に生まれたフォーマルな様式で、かしこまった空間といえる書院造りから、もう少し施主の好みに任せて、くつろげる空間を目指したのが数寄屋造りである。住空館でも、屋根は杉の柿葺き、壁は、わら聚楽壁塗りといった、〈真行草〉でいう最も格式の高く整った〈真〉を少し崩した、〈行〉や〈草〉に当たる様式を用いている。

そんな数寄屋造りから、坪庭と池を介在して繋がるのが欅の間。シンプルで木の温もりを感じられる、上質で和モダンな空間だ。欅は広葉樹最良の材とされ、古くから日本人に愛され続けてきた。木材の色は非常に艶やかで、他の材にはない魅力的な色合いを持つ。その素材本来の木肌を活かし、最も大きな面積を占める床には、〈神代欅〉という欅を使用している。これは火山の噴火で火山灰に埋もれ、腐らずに半化石化した材で、独特の色彩に染まりきるのに、少なく見積もっても千年以上の歳月が必要だといわれている、非常に希少な欅である。悠久の時の流れを感じさせる、重厚で落ち着いた色合いが、洗練された空間を演出している。
杉の間は、部屋すべてを無垢の杉材で構成した、美しく統一された空間。迫力のある長い一枚板のテーブルを中心に、畳と椅子を同居させ、集った人が思い思いの場所に座り居場所をつくる。人の集まるリビングダイニングを提案している。
無垢の杉は、産地により性質が異なる。床材に適したものや、構造材に適したもの、仕上げ材に適したものなど、各素材を適材適所に用いるための見極めも重要となる。ここでは、床材に相生杉、構造材にオビ赤杉、ブラインドには智頭杉を使用している。相生杉は徳島県の相生地方の特産。60年生以上の太りきらなかった材のみを選び、こだわった乾燥手順で仕上げている。杉の板は柔らかく、冷たくならないのも、床材に適した特徴といえる。構造材のオビ赤杉は、舟の材料としても使われるなど、シロアリも避けて通るといわれるほど耐久力のある赤杉を、建築用に品種改良したものだ。智頭杉は、鳥取県八頭群智頭地方の特産。ブラインドのスラット部分には、杉の中でも希少な、赤み柾目のみを使用したこだわりの品。天然素材のため、一本一本の色調が異なり、木の表情や香りを楽しめる。

残る最後の空間となるのが漆の間。漆は日本を代表する塗料である。その特徴は、木の呼吸を妨げることなく素材本来の味わいを残し、抗菌性があり、体や環境に優しい天然素材であるということだ。その奥深く艶やかな輝きは、海を越え世界中の人々を魅了してきた。そんな漆による加工を〈漆の間〉では随所に施している。柱や鴨居には、木目を美しく保つ〈拭き漆〉。竿縁や廻縁、床框には、鏡のような光沢を放つ〈呂色仕上げ〉。そして、書院天板や琵琶棚には奥深く味わい深い〈潤朱漆塗艶有〉という漆仕上げを施した。塗装はすべて輪島の漆職人によるもので、漆技術と弊社大工の匠の技が融合した、潤いのある和の空間となっている。