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の遺物 日本各地の縄文遺跡から、漆液を固着材とした遺物が出てきます。漆液の持つ強さが色材や造形を固定し、その時代のロマンと多くのメッセージを現在に伝えています。北海道南茅部町垣ノ島B遺跡より出土した、現時点における世界最古の漆塗り製品はおよそ9000年前の物です。死者が纏っていた装飾的な衣服で、一本の繊維に朱漆塗りの細い繊維を巻き付けた糸でアンギン織になり、ところどころに玉状の飾りがついています。

漆の力 縄文人が残した夥しい漆芸品を概観すると漆は造形素材、接着材、絵画素材、塗料素材として使われていることが分かります。漆の持つ可能性をすでに十分に使いこなしていた縄文人の高度な技術力と、豊かな感性が感じられます。現在までの長い間、様々な分野で使い続けられて来た漆は、人類にとっては安心で安全な塗料なのです。地球環境の保護という観点から考えても実に興味深いことです。
漆は中国や韓国において、古くから薬として認められてきました。今の韓国では、漆の木を鶏と一緒に煮込んだ料理や、漆の主素材が入ったシャンプーや乳液などが売られています。漆の主成分を化学合成塗料に混ぜた物を塗った部屋に居るとアトピー性皮膚炎が治るということを、テレビで放送しています。一度固まってしまった漆は、触れても人の肌に炎症(一般的にかぶれるという)を起こすことはありません。

芸術的感性で漆を施す 建築で使われている木を学び、性質を知った上で、芸術的感性を第一義にしながら漆のある空間を提案して参ります。「木」本来が持つ美しさは、その木が大自然の中で生きてきた長い歴史が創り上げている物です。漆をその木に施すと、その生きてきた証である杢目や年輪は鮮やかに浮き上がります。同じセルロースで出来ていながら、季節や方角によって違った木の質の変化を、漆が私たちの前に「命の集積」として見せてくれるのです。漆が木材の持つ自然の造形美を芸術にまで進化させるのです。


化粧梁に拭き漆を施している現場。人の手で丁寧に塗り、磨き上げられていく。右が1回目、左が2回目が終了したところ。

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