朝7時。平成建設に職人が集まる。これから現場に向かい、清掃をし作業に入る。そして一日汗を流し、再びこの場所へ戻ってくる。
この当たり前のような光景が日本の各地でいつまでも見られるかどうかは各地域のゼネコンにかかっている。日本における大工という仕事は、もはや衰退の一途をたどっているのである。
かつて日本の大工・棟梁といえば、特別で尊敬されるべき仕事であった。木を扱う技術はもちろん、営業から設計、監督、積算、人材育成など建築の1から10までを扱う建築のプロフェッショナルである。しかし高度成長期以来、早く安く効率的に建築を大量生産するようになる。販売会社が仕事を受け、現場の工程は細分化され、マニュアル化された。高い技術は要求されず、職人としての尊厳を奪われた大工は下請けとして価格決定権を持たなくなってしまった。
80年代、100万人従事していた大工は、僅か30年で半減し、今後10年でさらに半減しようとしている。このままでは日本が誇るべき高度な木造建築は消滅してしまうかもしれない。
大量生産の画一的な建築の時代が終わり、多様化した社会に応えるためにはどうしたらよいのか。平成建設が出した結論は、職人を育て、技術を内製化し、下請けに頼らない新しい建築の構造を生み出すことであった。つまりそれは、アウトソーシングに頼った建設業界の主流とは真逆の道。誰も漕ぎ出したことのない新しい海だった。
時は経ち、平成建設は日本で唯一の大工集団を創り上げた。それは教育と経営を融合させた新しい建設会社の姿である。大卒を職人として採用するのは、ただ作業を行う単能工ではなく、マルチプレイヤーとして多能工を目指しているから。腕を磨くのと同じく、頭脳を働かせて欲しいのだ。日本に存在していた棟梁という多能工と現代の技術を融合させれば、次世代の棟梁が生まれるのもそう遠い話のことではない。現代型の棟梁集団が日本の建築・文化を継承していくのだ。