家の建替えを検討していたお施主様が、〈大正浪漫邸宅〉のような家にしたいと平成建設に依頼。
時をこえて家を支え続けた古材たちは大工の手によって蘇り、新たな命を与えられる。

2013年2月、小田原市のM様邸に平成建設の大工達が集まっていた。屋根に上り、クレーンを使って、築90年の邸宅を解体していく。
この作業には、解体以上の意味がある。それは「再生」の第一歩だということ。この古材の梁は新築住宅へ再利用される。設計にあたるのは角谷、棟梁は土屋。大正浪漫邸宅と同じメンバーだ。
どんな材料が出てくるのか、解体してみないことには分からない。現場に駆けつけた角谷は作業の様子を注意深く見つめていた。次第に小屋裏で家を支えていた梁が露わになる。角谷いわく〈期待通りの素晴らしい梁〉が次々と運び出されていく。90年の歳月を経ているものの、まだまだ十分に使用可能。この先何十年も活躍するであろう、〈これからの木材〉だ。良い物は時を超えるということを私たちに教えてくれる。

その後、この木材を平成建設の加工場に運び、洗浄し、角谷と土屋の両者で、どう使用するかの打合わせが幾度となく繰り返された。土屋が梁の仮組を行う際は、角谷と共にお施主様にも立ち会って頂いた。そして、2013年6月、M様邸は上棟を迎えた。そこにあの逞しい梁も納まっていた。家族の思い出が詰まった、家の記憶を継承する建替え。古材は設計士のイマジネーションと大工の技によって生まれ変わり、新たな命を与えられた。