規模な大工の教育システムを作り上げている企業は、平成建設以外には無い。1人の大工を育てるには膨大な時間と費用がかかり、職人をかかえることは経営上のリスクと考えられてしまうからだ。ではなぜ平成建設では職人を中心とした組織を作り上げられたのか。「今のうちに若い大工を育てなければ、大工の職能が失われ、日本の建築文化はダメになってしまう」という強い危機感をもって社長の秋元が起業した平成建設。会社が小さいうちから大工を育成する組織を目指し、20年あまりを費やして人を育てながら利益を出すシステムを構築してきたのである。
2000年から本格的に新卒の大学生を対象に職人の募集をしたところ、全国から応募者が殺到した。ものづくりの現場で働きたいと思っている学生は多いにもかかわらず、十分な受け皿は無いという現実が浮き彫りになった形だ。組織の歯車になるのではなく、自分の技術で日本のものづくりを支えていく。会社に帰属するのではなく、就゛職”をするという当たり前の考え方が浸透してきた結果である。
また、平成建設では新卒採用を中断したことはない。それは、世代間にブランクがあることで、教える際にギャップが生じてしまうからだ。経験の蓄積がものをいう職人の世界では、1年の違いがかなり大きな差になってくる。それぞれの年代を段階的にそろえて初めて、組織は人を育てるのに適した構造になれるのだ。