らしげにこちらを見つめる職人集団。これは広告などに使用される、平成建設を象徴するビジュアルだ。大工、鳶、型枠、鉄筋、土工、設計士、監督など、主要な建築プロセスを自社で施工する〈内製化〉を行う平成建設。その核となるのが、社員の約4割を占めるこの職人集団だ。
一般的な建設会社に職人は在籍していない。実際の工事は外部の職人にその都度依頼をする、アウトソーシングの形をとっている。平成建設は一般とは真逆の〈内製化〉を行う会社。自分たちで造ることにこだわり、幅広い職域で多くの社員を職人に育てている。これだけの規模の職人集団は他に例がない。なぜなら、1人の大工を育てるには膨大な時間と費用が必要だからだ。職人を抱えることは経営上のリスクと考えるのが定説だが、なぜ平成建設は職人を中心とした組織を作り上げられたのか。
同社は、社長の秋元が「今のうちに若い大工を育てなければ、大工の職能が失われ、日本の建築文化はダメになってしまう」という強い危機感を抱き、1989年に起業した会社だ。会社が小さい時から大工を育成する仕組みをつくり、20年以上を費やして、人を育てながら利益を出すシステムを構築してきたのである。
2000年から新卒の大学生に向け本格的に職人の募集をしたところ、全国から応募者が殺到した。ものづくりの現場で働きたいと思っている学生は多いにもかかわらず、十分な受け皿がないという現実が浮き彫りになった。「組織の歯車になるのではなく、自分の技術で日本のものづくりを支えていく」という気概を持つ若者が集まり、平成建設の職人集団はその数を増やし続けている。